経営者に求められる5つの資質

ここでは、私の経営者としての経験から、経営者にとってどういった資質が必要なのかをまとめています。

私の経験に基づいているので、「どんな会社でもこれが正解!」というわけではないと思いますが、少なくとも自分の後継者に求める資質であることは間違いありません。

経営者に必要な心構えについてはこちらの記事をどうぞ↓

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リスク管理と法律知識

法務部がない中小企業経営者の業務の中で、最も能力が求められるのはリスク管理です。

ワンマン社長ほど組織としての抑止力が働いていないケースが多く、

「ばれなきゃ大丈夫」

なんて思っている方も多そうですが、そういった見通しの甘さは命取りとなるのでやめましょう。問題が大きくなります。

経営者は責任から逃れることができないのですから、何か問題が発生したときに、弁護士に丸投げして「専門家に任せているから大丈夫」などと、甘く考えていたら大変なことになります。

最終決裁権を持っている経営者が、契約書や裁判時の弁論書などを確認する際、

法律構成要件や要素をきちんと理解していないとお話になりません。

私の経験上、弁護士をはじめとした士業の先生方は、失敗しても大したペナルティがないので、そこまで真剣に考えてくれないケースが散見されます。

顧問料月額固定のビジネスモデルなので、1件1件あまり時間をかけたくないんですね。

士業はあくまでアドバイザー程度に考え、疑問点は自分で調べたり、よく質問して、専門家と対等に話せるレベルの知識武装が必要です。

ある程度、法律知識がある顧問先に対しては、彼らも緊張感をもって対応しますし、知識をつけることで、自分自身で専門家の実力を把握できるようになります。

私自身、何回も先生方を論破していますし、

「能力が物足りないな」

と思った時は顧問契約を切り替えています。

過去から学び、整理する

仕事において「考える」と「行動する」が対の表現とされるケースが多いですが、

私はその中間に、学んで整理するというフェイズがあると思っています。

「考える」というと、今持っている自身の知識と経験だけで、考え始める人が多いのですが、たいていの場合、今持っている情報では不十分です。

そんな状態であがくより、少し情報を集めて整理してから考え始めたほうがより的確な答えが出せます。

経営に関するほとんどの課題は、過去の経営者も同様に抱え、すでに解決された課題です。

解決策はある程度体系化されているので、それらをインプットすることで容易に解決できるのです。

「これは新しい!」

と鼻息荒くして考えついたものが、検索したら誰かがすでにやっていることなど日常茶飯事です。

大体のアイデアは、優秀な先人達の後塵を拝するものとなります。

経営者には、アイデアひとつで状況を変えることが求められますが、

再現性のあるアイデアは過去にしかないのです。

関連書籍に目を通したら、答えがサラッと書いてあったりします。

「考えてる時間がもったいない。失敗してもいいからとりあえず行動しろ」

とアドバイスする人もいますが、そもそも「失敗してもいい」というのはおかしい。

失敗しないほうがいいに決まっているのに、行動することが目的となり、思考停止しています。

この「学んで整理する」という段取りを踏めば、失敗のリスクを潰して成功確率を高めることができます。

注意してほしいのは「読書量を増やせばいい!」ということではありません。

過去に読んだ本について思い出せますか?私は大半忘れてしまいます。

1番効率的かつ効果的なのは、

今必要な情報だけをインプットし、

自身の課題と照らし合わせて整理し、アウトプットすることです。

一流の指導者となる

自分自身がトップ営業だった方に多いのですが、

経営者はいつまでも一流のプレーヤーであることに固執してはいけません。

一人で出来ることはたかが知れています。

会社を成長させるためには、

自分を超えるような存在を育てる、一流の指導者になる必要があります。

社員のレベルを一定以上の基準に引き上げることで、より良いサービスを社会に波及させていきましょう。

そのために、言語化能力や文章構成能力が必要となります。

自分がピンときたことを、社員にピンとこさせることは意外と難しいものです

曖昧な情報を言語化し、わかりやすく文章を構成し、積極的に社内に情報発信をすることが求められます。

これができなければ、結局なにも進まず自分でやるしかなくなります。

承認欲求と孤独に打ち勝つ

経営者は仕事ができて、当たり前。

いい仕事をしても誰にも褒めてもらえません。

誰かに仕事を褒めてもらいたい!というような

承認欲求が強い人は、経営者に向いていないと思います。

また、派手にお金を使って、他人の関心を引こうとしたり、有名になるために会社をとにかく大きくするような考え方も好ましくありません。

足るを知る」という言葉があるように、無尽蔵の欲望や見栄っ張りは破滅への道となります。

邪魔な欲求は排除しましょう。

また、給料を払う側ともらう側という関係性から、経営者と社員は一線を引くことになります。

これが「経営者は孤独」と言われる所以です。

家族経営なども調べましたが、私には難しいと感じました。

ほんとに家族なら仕事できようができまいが給料アップして甘やかせますが、

実際は、社員を仕事の良し悪しで評価するしかありません。

仕事ができない人に情を持ち込まないほうがいいのです。

経営者も人間ですから、情が入ると判断がブレます。

勧善懲悪・信賞必罰の精神で、経営にあたりましょう。

こういったメンタルコントロールも経営者になって求められました。

的確な判断をくだすこと

経営者は、あらゆる場面で正しい判断が求められます。

判断の連続の中で、常に正しい取捨選択をし続けるのは至難の業です。

恐ろしいことに、人は「自分が正しい」と思い込むと、どうしても曖昧な情報や主観で物事を捉えすぎます。

偏りのないバランスよいインプットをし、データや情報にバイアスがかかっていないか疑い、本質を見極める癖をつけましょう。

根拠やデータをしっかりと確認して、確信を得られるまで結論は出さず、よりよい選択肢がある可能性を最後まで模索する根気強さが求められます。

自分自身を疑う強さも必要です。

さらに、経営者は目の前のことだけでなく、一歩先まで踏まえた思考能力が求められます。

社員は基本的にルーティーン業務の中で、「いかに自分の業務を効率的にやるか」ということに集中しがちです。

一方で、経営者は会社をより良くするために必要な新しい業務を生み出し、その業務を既存の仕組みの中に組み込むことが求められるのです。

そのためには、社員の業務フローを細かく把握し、部署ごとに新たなミッションを与えながら、企業全体に齟齬がでないような最適化も同時に推し進めなければなりません。

少し話がズレますが、私も過去に部分最適でしか物事を捉えられなかったために失敗した経験があります。

業務を外注する際、下請けを安く叩くことや、期日厳守にばかり目を向けていたところ、完成物が粗悪品となってしまい、痛い目を見ました。

これでは、本来の目的を達成できません。

システム開発や建築など、完成物が目に見えない商材を扱う際、初期の段階で仕様や要件を洗い出すことは素人には困難です。

なにが適正で、なにが正しいのかを判断するために、全体像を把握する時間を十分にとってから取り組むほうが得策です。

経営者として、自分が分からないことを中途半端な知識で判断し、丸投げすることは避けましょう。

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