こちらの記事にあるとおり、私が経営者としてやっていけているのは、サラリーマン時代の経験があったからこそです。最初から家業を継ぎ、祖父や古参社員の言いなりになるようなヘタレでは、経営者として務まらなかったでしょう。
ここでは、ネット広告代理店への転職がどのように経営に活きたのかをまとめます。
私が経営者としてなんとかやっていけているのは、サラリーマン時代の経験があったからこそです。 様々な修羅場を潜り抜けながらメンタルを鍛え、他社で培った自信があったからこそ、へこたれずにやってこれました。 新卒から家業に入り、祖父[…]
ネット広告代理店で学んだこと
おもしろいことに、当時の募集要項が
「現職(前職)でなにか一番になったことがある方」
だったと記憶しています。
私は、前職で新規顧客口座・窓口開拓数で社内トップになっていたので、それをアピールして内定を頂きました。
【顧客】既存顧客100%(新規キャンペーン提案多め)
【担当社数】2社(大手通信会社、住宅情報サイト)
【個人売上】約3000万円/月
社外を知る
まず、転職してよかったのは、前職・現職それぞれの良いところ、悪いところに気づけたことです。
一社目で当たり前だと思っていたことが当たり前でなかったり、転職しなければ分からなかったことが多々ありました。
新卒の頃は同期と不満ばかり漏らしていましたが、転職すると
「ここは不満だけど、ここは満足」
と会社に対して是々非々で考えることができるようになりました。
特定の人とばかり付き合っていると、何が普通で何が異常か気づけないものです。
情報と選択肢をたくさん持ってないと間違った方向に進んでしまうし、間違ってることにすら気づかない状況が一番怖い、と私は思います。
選択肢を持っていないと、選択しているようで選択させられているわけです。
BtoBの仕事では社外の方とのやり取りも多いので、社外の知見が広がったことはプラスでした。
また、事業部制と独立採算制のどちらも経験したので、経営者になった際に良いとこ取りをすることができました。
時間効率
市場調査会社時代も激務でしたが、広告代理店はそれを超える激務でした。
終電どころか毎日タクシー帰り。
仕事が終わらなさ過ぎて半泣きで会社に泊まることもザラにありました。
「1時間に1本レポートを仕上げればなんとかなる。これが終われば楽になるはず・・・」
と、ギリギリのタイムマネジメントをしながら、ヒリヒリした忙しさを抱えた日々でした。
今思い出しても痺れます。
ネット広告運用は、細かい配信設定やターゲティング、ABテストができる一方、とてつもなく確認点や作業量が多いです。週末も広告配信は継続しているので、土日もピリピリ。
私は、フィードバックをなるべく早く、頻繁にもらうことで無駄な業務を減らしました。
アウトプットの質とスピードは、インプットの質とスピードによって決まります。
だからこそ、限られた時間の中で何を学ぶかがとても大事で、アウトプットに必要なインプットを高速でやることで、業務量をこなしました。
不可能なものは不可能と割り切り、無駄かどうか瞬時に判断して、効率の良い業務に時間を投下する、といった基本を徹底するようになりました。
経営者は、スピード感をもって判断をする場面がたくさんあります。
即座に判断するためには、事前に判断できる材料を持っていなければなりません。
もし判断材料を持っていない場合はインプットをしなければならないため、アウトプットのために必要なインプットを最短でやる癖はこの時についたものです。
すべての仕事に理由はある
業務に追われて判断スピードをあげていくと、感覚に頼る部分が多くなり、いざ言語化する際にうまくできないという事案にぶつかります。
一度固めてしまった結論については、その構成要素を改めて説明しようとしても、スッとでてこないものです。
広告のプロとして、お客さんに提案するときになぜその提案に至ったのか、なぜそれがベストなのかを論理的に説明できなければなりません。
「全ての仕事に理由がなければならない。何となく、というのはない。」
上司に言われて、心に残っている言葉です。
今までも自分なりに考えて仕事をしているつもりでしたが、突き詰めてできていなかったことに気づかされました。
この考え方は経営においても非常に大事で、
「この業務はこういうものだ」
ではなく、なぜこうなっているのかを論理的に説明できないと改善の道筋がたてられないものです。
責任と給料の関係
キャリアアップして給料も大幅にアップしたのですが、求められる業務のレベル、個人の裁量、仕事で扱う金額もあがりました。
「自分は仕事ができる人間」だと思っていましたが、井の中の蛙でしたね。
業種・職種が変わればインプットはゼロからスタートとなります。
転職した先に楽園なんてないんですね。
たどり着いた先、そこにあるのはやっぱり戦場でした。
漫画「ベルセルク」より 三浦健太郎 著
結論、どこで働こうが、力をつけなければならない。
時間を切り売りするのではなく、価値を生み出すことに集中しなければなりません。
転職した場合は、今まで積み上げて来たものは大事にしながらも、過去に固執せず、変化や違いを受け入れて前に進んでいくしかないですね。
就活では「責任のある仕事をしたい」とか能天気なこと言っていましたが、本当に責任ある仕事は能力ないとできないし、辛いことが多いし、そういった覚悟はありませんでした。
転職してそういった原理原則も俯瞰して見れるようになり、経営者になる覚悟を持つきっかけになりました。
マネジメント層の心構え
サラリーマン時代にマネジメントされる側の気持ちもわかったうえで、経営者になったことは良かったと思っています。
当時、部下の意見にも耳を傾けてくれる上司が一番信用できると感じたので、私も現在そのように努めています。
部下に対して、一方的に自分の意見を押し付けるのではなく、双方向にコミュニケーションをとらないと状況を正確に把握することはできません。
話の言葉尻だけを捉えて、あたかも理解したかのように話し始めても的が外れます。
部下からは「こっちの話を最後まで聞けよ」と思われるし、認識のすりあわせができないので判断を間違えます。
自分のモノサシで理解した気にならず、いかに正確に把握して答えを出せるかが勝負の分かれ道です。
また、現場に具体的なアドバイスができる経営者は強いです。
現場を分かっていると工数が読めるので、部下がズレたことをやっていたり、非効率なことをしているときにも気づきやすいですし、すぐに方向修正ができます。
出来る限り具体的な指示をだすことで、成果物のクオリティがぶれず、無駄な出し直しが削減できます。
これができるマネージャーは、組織としてのチェック機能になるので重用されますね。
部下のミスに対して怒っている上層部は、部下に仕事を丸投げしてチェック機能が働いていないケースが多いです。
優秀な上司は、チェックすべき勘所を抑えているのでそもそもトラブルになりません。トラブルになると無駄な仕事が増えるので、チェックを細かくしたほうが、結果的に業務効率は上がります。
また、業務分担もマネジメントの領域です。
例えば、営業がやらなくてよい雑務・事務ばかりやっていて、営業活動に注力できないケース。
事務に業務を分担することで営業効率を上げることができますね。
また、仕事ができる人に業務が集中してしまっている場合。
組織的な課題として上層部が認識して、他の人に振り分けていかないと、その人は潰れるか会社辞めます。
一般的な労働時間の2倍くらい働いて、地獄のような日々でしたが、そんな中で、実績を出してきた経験は、社会人生活にとってかけがえのないものです。
どんな会社でも活躍できる自信がつきましたし、マーケティング視点を持てたことで、経営に活きました。
中小企業で難しいとされるのは集客なので、広告を学べたことはプラスでしかなかったです。
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2015年、私が25歳の時の話です。 創業者である祖父が一時的に体調を崩し、 「これはやばい!早く後継者を連れ戻せ!」 ということになり、急遽「渋谷ではたらく広告マン」を辞めて埼玉に戻ることになりました。 ところが[…]
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